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青山梅窓院史 二・お寺の名前を訪ねて

 長青山寶樹寺梅窓院。
 これが皆さんのお寺、梅窓院の正式名称、もう覚えましたか。 平成13年度のNHK大河ドラマでは、徳川家康の家臣として青山幸成公が活躍しています。 この梅窓院は、その幸成公が亡くなり建立されたお寺です。時に寛永二十年、一六四三年のことです。

幸成公の戒名をもらう

 お寺の名前の院号は、幸成公の戒名からとられたものでした。 山号の長青山も、幸成公の側室の戒名からとっています。
 「あれれ、どうして亡くなった人の戒名ばかりからとるのだろう」 と疑問に思った方もいるでしょう。
 一体なぜでしょうね。皆さんは、どんな理由を考えられますか。
 理由はいくつも考えられますが、やはりその人を葬り、 その菩提を弔う為に建てたお寺ですから、その人をいつまでも忘れないように、 ということでお寺にその戒名をつけたようです。

お寺の名前を訪ねて

極楽を意味する「寶樹」

 さてさて、では真ん中の寺号、寶樹寺は一体何からとったのでしょう。
 寶は宝の旧字です。ですから「宝の樹の寺」ということですが、 実はこれは極楽を意味しています。
 浄土宗が大切にする三冊のお経がありますが、その一冊「阿弥陀経」には 極楽の様子が書かれています。一体どんなところでしょう。
 金銀瑠璃などの七つの宝でできた池、五色に輝く蓮華の花、大地は黄金ででき、 いつも心地よい音楽と気持ち好い風が流れている世界です。そして宝の樹もこの世界のものです。
 余談ですが、浄土宗では葬儀の時にこのお経を読み、 亡くなった方にこれから行かれる極楽浄土に様子をお伝えしています。
 ですから宝の樹は極楽のことで、青山幸成公が旅立たれた極楽浄土のことなのです。

お寺の名前を訪ねて

想いのこもったお寺の名

 こうしてみますと、戒名と戒名の間に極楽浄土の寶樹をはさんでいるのが、 お寺の名前になったわけです。
 そしてこれは極楽の宝の樹の下にこの世で仲の良かった二人が並んでいる、 ということを意味したのかもしれませんね。
 長青山寶樹寺梅窓院、このお寺の名前はいまから三百五十年以上前につけられましたものですが、 こうしてその命名の理由を探っていくと、その時の青山家の様子や このお寺を建立した人々の想いがいまに伝わってくるようですね。
 名は体を表わすといいますが、まさに梅窓院は青山家の菩提寺にふさわしい寺名です。

(真山剛・ルポライター)